2019年11月23日

センセーブ運河

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バンコクはチャオプラヤー川下流の湿地帯に出来上がった都市で,地面を掘れば簡単に地下水が湧き出てくるような地盤の上に発展してきました。かつては東洋のベニスと呼ばれたように,四方八方に運河が張り巡らされて,交通の便はボートが主流だったのです。

その名残りがあって,現在もなおボートが公共輸送機関として機能している運河がいくつかあります。そこで,今回はそのうちの一つ,センセーブ運河を走るボートをご紹介したいと思います。


運行ルート


センセーブ運河運行ルート

地図上に運河のルートを紫色とオレンジ色でマーキングしました。オレンジ色のマーキングは右上で途切れていますが,実際にはもっと先の方まで延びています。

運河は東西2つのルートに分かれています。

一つは紫色でマーキングしたルートで,パーンファーからプラトゥーナムの間を小型のボートで運行しています。もう一つはオレンジ色でマーキングしたルートで,プラトゥーナムからワットシブンルアンまでの間を大型のボートで運行しています。


この写真はプラトゥーナム船着き場ですが,ここに写っている右側のボート(オレンジ色のルートを運行)は,左側のボート(紫色のルートを運行)よりもかなり大きいことがわかります。

運河は王宮に近い旧市街から掘られていきましたが,都市の発展と交通量の増加を伴って次第に郊外に延びて行き,運行するボートが大型化して,郊外に行くほど川幅と深度が広がっていきました。

ところが,雨季になって運河の水嵩が上昇すると水面から橋桁までの高さが狭くなり,オレンジ色のルートで運行している大型ボートは紫色のルートを通れなくなります。それが原因で,プラトゥーナムで常に乗り換えが必要というわけです。


ボートの発着場


番号
船着き場
連絡
W04
ต04
パーンファー
ผ่านฟ้าลีลาศ
カオサン通りまで徒歩15分
W03
ต03
タラートボーベー
ตลาดโบ๊เบ๊
ラマ1世通りまで徒歩5分
W02
ต02
サパーンチャロンポン
สะพานเจริญผล
W01
ต01
サパーンホアチャーン
สะพานหัวช้าง
BTSナショナルスタジアム駅まで徒歩10分弱
BTSラーチャテーウィー駅まで徒歩5分
CENTERプラトゥーナム
ประตูน้ำ
BTSチットロム駅まで徒歩10分
ARLラーチャプラロップ駅まで徒歩10分
E01
อ01
チットロム
ชิดลม
BTSチットロム駅まで徒歩8分
E02
อ02
サパーンウィッタユー
สะพานวิทยุ
E03
อ03
ナーナーヌーア
นานาเหนือ
BTSナーナー駅まで徒歩12分
E04
อ04
ナーナーチャード
นานาชาติ
E05
อ05
アソーク
อโศก
MRTペチャブリ駅まで徒歩2分
E06
อ06
プラサンミット
ประสานมิตร
E07
อ07
イタンタイ
อิตัลไทย
E08
อ08
ワットマイチョンロム
วัดใหม่ช่องลม
E09
อ09
スラーウバーンドーン
สุเหร่าบ้านดอน
E10
อ10
ソイトンロー
ซอยทองหล่อ
E11
อ11
チャーンイッサラ
ชาญอิสสระ
E12
อ12
ローンレームウィチット
โรงเรียนวิจิตร
E13
อ13
サパーンクロンタン
สะพานคลองตัน
ARLラムカムヘン駅まで徒歩5分
E13-1
อ13-1
ラム1
ราม 1
ARLラムカムヘン駅まで徒歩3分
E14
อ14
ドゥモーン3
เดอะมอลล์ 3
E15
อ15
ラムカムヘン29
รามคำแหง 29

E16
อ16
ワットテープリラー
วัดเทพลีลา
E17
อ17
ラムカムヘン大学
มหาวิทยาลัยรามคำแหง
ラムカムヘン大学まで徒歩5分
E18
อ18
サパーンミットマハータイ
สะพานมิตรมหาดไทย
E19
อ19
ワットクラン
วัดกลาง
E20
อ20
ドゥモーンバーンカピ
เดอะมอลล์บางกะปิ
ザ・モール・バンカピ店
E21
อ21
バーンカピ
บางกะปิ
E22
อ22
ワットシーブンルアン
วัดศรีบุญเรือง

(注)新しい船着き場が突然増えたり,工事中でボートが止まらない船着き場があったり,あるいは船着き場そのものが廃止されることがあります。
番号のตは西,อは東の略語です。


乗り方


プラトゥーナム以外の船着き場は1か所だけです。左右両方向からボートが船着き場に到着するので,行き先を間違えないように気をつけましょう。

ボートが船着き場に到着すると,車掌さんが船着き場の留め具にボートのロープを巻き付けて固定します。慣れないうちは,ロープでボートが固定されてからゆっくりと確実に乗り降りしましょう。

乗降の際に失敗して,どぶ臭い運河に落ちる人がたまにいて危険だったので,つい最近になってボートに階段と乗降口を取り付けるようになり,乗降は楽で安全になりました。それでも,気をつけるに越したことはありません。

運河の水は淀んでとても臭うときがあります。お世辞にも決して綺麗とは言えません。ボートがすれ違うと大きな波が立って飛沫が飛んできますので,ボートの両脇には透明なビニールカバーがついています。飛沫が飛んできそうなときは紐を引っ張ってこのビニールカバーで遮断しましょう。ボートの両脇はビニールカバーで飛沫を避けることができます。

そうでなければ,最初から飛沫が飛んでこない場所に座りましょう。


運転席の前面には窓ガラスがついているので,その後方には飛沫が入ってきません。

ボートに乗ったら車掌さんが集金に来るので,行き先を告げてお金を渡します。車掌さんはタイ語しかわかりません。スマホで地図を見せても地図を読めません。タイ語で行き先を伝えることができない場合は,上の表に書いてあるタイ語の船着き場を車掌さんに見せましょう。

プラトゥーナムで乗り換えた後で,乗り換え後のボートの車掌さんが2回目の集金に来ることがあります。料金を支払ったときに受け取った領収証は捨てずに持っていましょう。

目的地の船着き場に近づいて降りるときは,ボートのあちこちに呼び鈴のようなスイッチがあるので,余裕をもってベルを鳴らし,次の船着き場で降りることをボートの運転手さんに知らせましょう。


運行時間帯

日の出から日没までの運行ということになっています。だいたい夕方の6時頃が最終便です。行き先を間違って最終便に乗ってしまっても,引き返すことができません。躊躇しないで,すぐに次の船着き場で降りましょう。

恐らく反対方向の最終便も出てしまった後ですから,その日はもうボートに乗れないものとあきらめて,タクシー,バス,トゥクトゥクなどの他の交通機関を使うか,運が良ければ徒歩で行けるBTSの駅に向かいましょう。

プラトゥーナムでは,外国人観光客向けに300バーツくらいでボートを一艘ごとチャーターして運河を遊覧するサービスもあります。


運賃

距離によって運賃は変わりますが,パーンファーからワットシブンルアンまで端から端まで乗ってもせいぜい20バーツ(70円)くらいです。ここに運賃表がありますが,運賃に変更があるかもしれません。

船着き場に運賃表が張り出されているので,ボートに乗る前に行き先までの運賃を確認しておきましょう。


最後に

センセーブ運河に乗ってバンコク郊外を訪れると分かりますが,ボートの乗客はイスラム教徒が多いことに気がつくと思います。郊外に行くにつれて,川沿いにはいくつものモスクが建ち並んでいます。

歴史的には,タイ王室がイスラム教徒にセンセーブ運河を作らせてその管理を任せる代わりに,運河一帯に居住する許可を与えた経緯があります。センセーブ運河を利用しているイスラム教徒は,運河を作った彼らの子孫にあたるのです。

そんなわけで,機械のない時代にほとんどを手作業で成し遂げた彼らの偉業に尊敬と感謝の気持ちを持って,ボートに乗せてもらいましょう。


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